「フェアトレード」ラベルがコーヒーやチョコレートだけでなくファッションの世界にも広がる

「フェアトレード」ラベルがコーヒーやチョコレートだけでなくファッションの世界にも広がる


Market Watchより引用した翻訳記事です。

 
フェアトレードのコーヒーやチョコレートはいまや当たり前のことになりましたが、次はフェアトレード・ファッションに向けて準備するときです。

バングラデシュのラナ・プラザ衣料工場の事故で1100人以上が亡くなり、ファッション産業の労働環境について注目が集まってから2年が経ち、フェアトレードの衣服が支持を集めつつあります。この事故は同時に、ファッション業界は変わるべきなのではないかというドキュメンタリーが作られるきっかけにもなりました。これは、ちょうど「フード・インク」などのドキュメンタリーがオーガニック食品を求める声を高め、それに食品業界が対応を迫られたことと同じ様相を呈しています。

  参照: This movie may change how you buy clothes(この映画で衣料品の買い方が変わるかもしれない。)

 
フェアトレード認証を受けた衣料品や家庭用品の量は過去2年で急速に伸びており、2014年だけでもほぼ5倍に急増している、と非営利の認証団体であるフェアトレードUSAが報告しています。フェアトレードUSAは2012年に繊維工場向けに334を超える順守基準を導入しています。世界的にみると、独自の認証基準を打ち出している団体も他にいくつかあるため、フェアトレード認証を受けた商品はさらに劇的に増加している可能性があります。
フェアトレード認証には、工場の周辺環境への影響、全体的な労働条件、労働者に与えられた権利等、いくつかの基準が定められています。しかしまず第一に、労働者は現地の最低賃金を保証されなければなりません。また、ブランドは工場からの仕入額に基づき、労働者に直接追加の支払いをすることが求められます。これはフェアトレード・プレミアムとよばれるものです。
第三者による工場監査や労働者の研修、フェアトレード・プレミアムを含めたブランドの総経費は平均してブランドが工場に支払う金額のおよそ1~5%だ、とフェアトレードUSAの衣料品・家庭用品部門部長のマヤ・スパウルさんは言います。
「ラナ・プラザで起きた事故がフェアトレードの急成長に影響を及ぼしました。あれはファッション業界に対する警鐘だったのです。」とスパウル氏。

  参照:Fashion industry commemorates anniversary of Rana Plaza disaster (press release)
  (ファッション産業はラナ・プラザ災害の命日を記念する <報道発表>)

 

倫理を前面に

フェアトレードUSAの衣料品認証はラナ・プラザの事故前はひと握りに過ぎなかったのが、現在では20のブランドが取得するまでになりました。認証を受けた工場は2012年に5ヵ所以下だったのが、2015年末にはインドからコロンビアに至るまで少なくとも25ヵ所に増加する見込みです。フェアトレードUSAによれば、ここ2年のあいだにPatagonia(パタゴニア)、Williams-Sonoma Inc.(ウィリアムズ・ソノマ)、West Elm(ウエストエルム)、Bed Bath & Beyond(ベッド・バス・アンド・ビヨンド)などの小売店がフェアトレード認証の衣料品や服飾品を売り始めたということです。
ウエストエルムの代表によると、フェアトレードUSAは家庭用品や衣料品を大規模生産するメーカーの生産施設を認証する唯一の団体だということです。「従来は、認証するのは原材料や生産物に限られていました。」と広報担当のアビゲイル・ヤコブ氏は言います。
フェアトレードUSAは1998年にコーヒー生産の認証のために設立されました。現在は服飾品から花、スパイスまで30の分野で認証を行っており、今年はセイフウェイ(アメリカのスーパーマーケット)で自称世界初のフェアトレード認証シーフードを扱うということです。

 

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Fair Trade USA


 
オーガニック食品の選択肢が主流になったように、認証されたエシカルな衣料品や家庭用品も「真のプラスの変化を呼び起こす」ために「より大きな市場で流通させなければいけない」とUnder the Canopy(アンダー・ザ・キャノピー)の創設者兼CEOのマルシ・ザロフ氏は言います。アンダー・ザ・キャノピーは初期からフェアトレードUSAと共に活動しているファッションブランドです。
ザロフ氏「人々は目覚め、『私も良いことをしたい』と言っています。」

倫理意識の高い選択肢を求める声を1つの表れとして、ザロフ氏によるとベッド・バス・アンド・ビヨンドで昨年の新学期シーズンに売り出したアンダー・ザ・キャノピーのフェアトレード認証の寝具商品は販売してすぐに売り切れたということです。「ミレニアル世代(主にアメリカで1980年代から2000年代初頭に生まれた10代、20代の若者の総称。エコブーマーともいう)は信頼性と透明性を求めています。」とザロフ氏は言います。彼らこそ「急速に高まりつつある持続性と倫理的ファッションに向けた運動を推し進める」人びとなのです。

アンダー・ザ・キャノピーは、オーガニック・コットンのキモノ・ローブやショールなどベッド・バス・アンド・ビヨンドのフェアトレード商品の幅を広げました。アマゾンやWayfair.com(ウェイフェア)でも販売しています。

ウエストエルムは、2014年の休暇シーズンに6品目だったフェアトレード認証ラグマットをこの秋には30品目に、テキスタイル・コレクションは13品目に拡大しました、とヤコブ広報担当官。さらに、認証付きの商品の拡大は「顧客の興味に訴え」、「良心に責任を負うこと」であるとも述べています。
「これは慈善事業ではありません。ビジネスのやり方を変えて人やコミュニティ、環境にプラスの影響を与え、同時にビジネスを成功させています。」

Whole Foods Market Inc.(ホールフーズ・マーケット)はPact(パクト)ブランドの初めてのフェアトレード認証Tシャツ商品を2014年春に売り出しました。このブランドで衣料品の大半をフェアトレード認証に移行し、ベーシックな衣料品の中で売れ筋の1つにしようとしています、とエミリー・ライト広報担当は言います。

 

商品は見た目が一番

昨年Columbia Sportswear(コロンビア)はヨガやアウトドアの衣料品ブランドであるprAna(プラーナ)を買収しましたが、2010年に売りだしたたった一つのフェアトレード認証Tシャツが、ドレスやスカート、男性用シャツを含めほぼ100品目にとって代わったと、ブランドのニコル・バセット サステナビリティ部ディレクターは言います。実際フェアトレード製品は現在プラーナの商品全体の約15%を占めています。バセット氏によれば、プラーナは既存のサプライヤーに認証を取るように働きかけています。
「皆さんが商品を購入しています。」とバセット氏。「共感を呼んでいます。しかしこの商品は、まず美しい商品として売らなければいけません。フェアトレードはおまけです。」
 
ブルーミングデールのCEO、トニー・スプリング氏も同じ意見です。Macy’s Inc.(メイシーズ)は理念志向商品にToms(トムス)の靴のようにフェアトレードのファッション商品を加えることを考えている、とスプリング氏は言います。
理念と結びつけたブランドは実際よく売れる、とスプリング氏はマーケットウォッチに語っています。「ただし商品が合っていなければいけません。私たちは何が人を一番わくわくさせる商品なのかを常に探していますが、もしもそこに人間的な側面があればなお一層よく売れます。」

 

フェアトレードへの挑戦

実際にエキサイティングな商品であるかどうかはエシカルファッションが直面する課題でしょう、とアナリストは言います。これまでの進歩は、提供されている商品があまりお洒落に見えないと消費者が感じることでペースを落とされてきた、と調査会社Euromonitor(ユーロモニター・インターナショナル)のグローバル衣料品アナリストのベルナデット・キッセイン氏は言います。「この業界には、古臭くて割高というマイナスのイメージがあります。エシカルファッションは魅力的なものとして立ち位置を改めるべきです。」

まずセールスマンを選んで次にスーツを (6:00)
ファッション・コラミストのジェフリー・ポドロスキー氏は、男性衣料品店で最適なサービスを受けていると確信させてくれる内部情報を教えくれます。
 

ファスト・ファッションと比べ価格が相対的に高いため、倫理志向のファッション・ラベルの多くは可処分所得の高いミドル層の消費者を的に絞っているようだとキッセイン氏は言います。
 
さらに業界の認証や認証団体に対する取り組みは統一されていませんでした。フェアトレード・ファッションに対する姿勢を問われたスウェーデンに本拠地がある巨大ファッション企業、H&Mはマーケットウォッチにこう語っています。「代わりにBetter Cotton Initiative(ベター・コットン・イニシアティブ)と協力して綿花生産の条件を改善することにしました。また他のブランドやステイクホルダーと協力してラベリングを開発し、消費者が社会、環境分野での『持続可能性の実績』を比較できるようにします。」
 
  参照: The biggest H&M in the world(世界最大のH&M)

「持続可能な繊維の認証は今なお初期段階です。」とザロフ氏は言います。「主流小売業者の多くは背後に何があるのか、どう差別化すべきなのかもわかっていません。」
そのために追跡や検証が難しくなっているかもしれません。

 

倫理が流行

フェアトレードとラベルがついた製品を、同時に洗練されているものにすることは、常にプラーナのデザイン・チームの優先課題である、とバセット氏は言います。さらにフェアトレード商品の価格が他の商品の価格と「競合できる」ことも確認します。「フェアトレードだからとかさ上げしないよう、非常に慎重に価格を決めています。」と、Market Watchに語ります。「消費者はフェアトレードだからと必ずしも高いお金を支払うわけではありませんが、これは素敵な付加価値かもしれません。」

フェアトレード認証のPranaのドレス

フェアトレード認証のPranaのドレス

価格を1~5%上げてフェアトレードの高いコストを相殺しなければいけない場合もあるが、需要に影響はないと彼女は言います。フェアトレードを考えるブランドがよく尋ねる質問は追加の経費はどのくらいかということですが、工場の高い生産性と労働者の低い離職率は潜在的な経費の軽減要素であると彼女は答えています。フェアトレードのファッションは「全体像を見れば明らかに非常に活力があります」と彼女は言います。
 
ピープル・ツリーは別の団体、世界フェアトレード機関で認証を受けています。ピープル・ツリーは有名人やデザイナー、モデルとコレクションのコラボを行ったり、衣料労働者の技能に則したデザインを行っています。若い購買層を惹きつけるため、イギリスの女優、エマ・ワトソンと協力してコレクションを作ったこともあります。ピープル・ツリーは20年以上前に設立され、人気のあるイギリスのオンライン・ショップのASOS(エイソス)を含め主に日本とヨーロッパで販売されていますが、アメリカのオンライン・ショップのModCloth(モドクロス)でも2年前から販売されるようになりました。また1年前にはアメリカでの独自のHPを立ち上げた、と創立者のサフィア・ミニーはマーケットウォッチに語ってくれました。
アメリカには「持続可能な成長があります。」とサフィア。「多くの若者が責任あるファッションを購入したいと思っています。」
 
高級品では、コンサルタント会社のEco-Age(エコ・エイジ)がKering Group(ケリンググループ)のGucci(グッチ)や高級ジュエリー の Chopard(ショパール)と協力して、倫理的に材料調達したデザインをケイト・ブランシェットのような有名人をモデルに紹介しています。
「ファッションでは最高級品はスタイルと方向性を定めます。」とエコ・エイジのイアイン・レンウィック会長は言います。「ケイト・ブランシュエットのような女優に大切なものを着せてスト-リーを語らせれば、世界が知ることになるでしょう。始める道筋として良いと思います。」詳細を明らかにすることは断りつつ、レンウィック会長はエコ・エイジがマスマーケット向けブランドと協力して倫理的ファッションを促進しようとしていると述べた。会長は「極めて重要な」努力だと語りました。

 

30回ルール

倫理的な衣装を購入しない言い訳が「高すぎる」ということなら、エコ・エイジのクリエイティブ・ディレクターのリヴィア・ファースはあなたにこうアドバイスするでしょう。「買えるか買えないかはもう問題ではありません。」と。彼女はあるインタビューでこう言っています。「買いものと何を買うかについての私たちの考え方や関係性を切り替えることです。店に入って衝動買いしますか、それとも本当に必要なものを買いますか。何か見つけたら自分に問うてください。最低30回は着るかしらと。答えがイエスなら買ってください。」
 
「私が若い頃にはファスト・ファッションはありませんでした。服との関係は今と異っていました。」
Eco-Ageのリヴィア・ファース
 
「今起きていることは、大半の人たちが1つの服を一度しか着ない、そして捨ててしまうということです。麻薬中毒のように社会全体が速く買うことに侵されています。私たちの消費の仕方は、人が考えるより実際にはずっとお金がかかっています。週一回店に行くのはやめて、5,6週に一度にしましょう。私が若い頃にはファスト・ファッションはありませんでした。服との関係も異なっていました。」
ファッション界で活躍しグリーン・カーペット・チャレンジを始めたファースさんは、メリル・ストリーブを始めとする有名人の支援を受けています。エシカルファッションに関わるようになったのは、2008年にバングラデシュの衣料工場を訪ねてからです。現地で家庭内暴力を止めるプロジェクトで活動していた時のことです。
「本当に衝撃でした。」と俳優コリン・ファースの妻であるファースさんは言います。「環境破壊や奴隷制をファッションと結びつけたことは一度もありませんでした。毎日身に着けている服が地球や人にこれほど大きな影響を与えているとわかると、何かしなければいけないと気づきました。」

  参照: Why the fashion industry is eyeing California’s drought so closely(なぜファッション業界はカリフォルニアの干ばつにこんなにも注目するのか)

 

インドのフェアトレード認証工場の中

インドのフェアトレード認証工場の中

 

(Market Watch リポーター Andria Cheng)