WFTO サミットレポート 第1弾

WFTO サミットレポート 第1弾


日本フェアトレード・フォーラム代表理事の胤森です。2016年10月19日~21日にタイで行われた「アジア・フェアトレード・サミット」に参加してきました。
このサミットは、ピープルツリーも認証を受けている「世界フェアトレード機関(WFTO)」の地域組織であるWFTOアジアの総会を兼ねて、メンバー同士の学びあいとネットワーキングの場として開催されました。
WFTOには欧米や日本のバイヤー団体とアジア、アフリカ、中南米の生産者団体の合計70ヵ国370団体が加盟していますが、そのうち130団体がWFTOアジアのメンバーです。インドやバングラデシュなどの生産者団体に加え、ここ数年フェアトレードが活発になっている韓国や香港のバイヤー団体もメンバーに加わって多彩な顔ぶれになっています。

今回の大きなテーマは「生活賃金」「男女平等」そして「フェアトレード・ツーリズム」。それぞれのテーマごとに、専門家といくつかのメンバー団体の代表者がパネリストとなって事例報告や提言が発表されました。そのほかにも「フェアトレード団体のブランディング」や「フェアトレード・タウン運動」についての分科会もあり、2日半の間に14のセッション、47名の登壇者という密度の濃さ!とてもすべては網羅できませんが、参加したセッションをいくつか報告します。

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Fair Trade Connection

 

サミットの会場は、バンコク郊外サンプランのリゾートホテル。ここに、WFTOアジアのメンバーのほかオブザーバー参加者も含めて29か国220人が集まりました!

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WFTOサミット会場

 

WFTOのルディ・ダルヴァイ会長はオープニング・スピーチで、フェアトレードの必要性を熱く語りました。
「利益を最大化しようとすると、誰かが敗者になる。敗者のほとんどは生産者だ。われわれはこのシステムを変えるためにこれからも公正な貿易を目指して闘わなければならない!」

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WFTOのルディ・ダルヴァイ会長

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WFTOの掲げる「フェアトレードの10の指針」を解説

2014年に始まったWFTOの「フェアトレード保障システム」は、メンバー団体がフェアトレードの10の指針にのっとった活動をしているかをチェックし、認証する仕組み。働く人が適正な賃金を受け取っているか、健全な環境で働いているか、現状に問題があればそれを改善する努力がされているか、などについて、自己評価や第三者の査察を通じてチェックします。生産工程にいくつもの小グループが関わる場合もあり、すべての生産工程で調査や書類作成をするのは簡単ではありません。しかしルディ氏によると、全WFTOメンバーが認証を取得するという目標を2017年末に達成できる見込みだとのこと。

つまり、WFTOメンバーのサプライチェーンに関わるすべての団体が、指針を守っていることが保障されます。WFTO団体認証を取得した団体の商品は、製品ごとに「製品認証マーク」をつけられます。認証を得る団体が増え、認証マークをつけた製品の流通が増加することで、フェアトレードの認知度が上がりさらに普及にはずみがつくことを期待します。

 

「フェアトレード・ツーリズム」のセッションでは、タイの著名な環境活動家で自給自足の暮らしや種銀行の活動拠点「パンパン」を東北部の村で運営するジョン・ジャンダイ氏がゲスト・スピーカーとして登壇。
「ツーリズムは新しい時代のコミュニティ創りです。パンパンを訪れる観光客は、帰る時には家族の一員となっています」

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ジョン・ジャンダイ氏

 

会議場の外では、生産者団体がそれぞれの製品を展示してアピール。「支援する団体をどのように探しているのか?」という質問を受けることがよくありますが、WFTOの国際会議会場は、こうした売り手(フェアトレードのつくり手)と買い手(フェアトレード支援団体など)とのマッチングの場となっています。

サイドプール・エンタープライズ(バングラデシュ)創立者のギャスディーンさん。
ピープルツリーにバッグを届けている団体です。

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サイドプール・エンタープライズ(バングラデシュ)

 

 

アーティザン・ハット(バングラデシュ)は、手織りの生地と刺繍が得意な団体。
ピープルツリーのウェディングドレスは、職人たちの高度な技の結晶です。

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アーティザン・ハット(バングラデシュ)

 

プロクリティ(バングラデシュ)は、手漉き紙など、自然素材と手仕事を活かした製品をつくるフェアトレード生産者団体の草分け的存在。

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プロクリティ(バングラデシュ)

サイレンス(インド)は、耳の不自由な人たちがキャンドルづくりなどで収入を得るプロジェクト。

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サイレンス(インド)

 

分科会として参加した「フェアトレード・タウン運動について」の報告会と、手仕事ワークショップの様子は、改めてご報告します。お楽しみに!

 

日本フェアトレード・フォーラム代表理事
胤森