現役大学生、欧州から日本のフェアトレードを考えるvol.10
フェアトレード危機! Farily Traded Teaと続く企業&メディア関係者限定イベントに参加しました!

現役大学生、欧州から日本のフェアトレードを考えるvol.10<BR> フェアトレード危機! Farily Traded Teaと続く企業&メディア関係者限定イベントに参加しました!


さて、前回好評だった記事、「イギリスの荒れるフェアトレード市場」、その後もかなり動きがあったので今回もご報告していきます!

まず前回の記事を振り返ると、イギリスで有名なスーパーマーケットSainsbury’sがプライベートブランドから販売していたフェアトレード認証されたお茶からその認証をやめ、独自に開発したブランドスキームを使い“Fairly Traded Tea”として販売することを発表しました。
(スキーム:目的を達成する仕組みを持った計画)

sainsbury's 抗議活動

sainsbury’s 抗議活動

これに対し、フェアトレードファンデーションではカウンタープロモーションや署名活動を依然として続けていますが、Fairly Traded Teaの販売はすでに始まっています。

Fairly Traded Tea1

Fairly Traded Tea1

Fairly Traded Tea2

Fairly Traded Tea2

さて、ふたつ目の写真ですが、認証ロゴなしの新製品Farily Traded Tea(左)とフェアトレードでつくられた従来品(右)が販売されています。これらの値段に注目してほしいのですが、従来品がセールになっており、新製品よりも50ペンス安く販売されています。これは新製品のためのスペースを確保するためと考えられますが、フェアトレード製品をセールですることで新製品へのイメージづくりも狙っているのではないかと考えてしまいます。

Change.orgというウェブサイトではSainsbury’sのこうした活動に反対するための署名活動にワンクリックで意思表明ができます。15万人の署名を目標にしており、現在は約10万人分の署名が集まっています。
Sainsbury’sに反対するための署名活動

一方で、他のメーカーやスーパーマーケットでもSainsbury’sのこの活動に同調するように、変化が相次いで起こっています。
イギリスでオーガニック製品などを豊富に取り扱うことで有名なスーパーマーケットWaitroseでは店内のフェアトレード製品の販売をさらに強化し、プライベートブランドで製造されるお茶を2017年10月までに全てフェアトレード認証を受けることを発表しました。
Retail Gazette

また反対に、Green & BlacksチョコレートではSainsbury’s同様に、製品からフェアトレードロゴを外し、“Cocoa Life”という独自に開発したブランド認証を採用することを発表しました。
Guardian

そして私が個人的に一番がっかりしていることが、あのCadbury Dairy Milkチョコレートが年末までにはフェアトレード認証をやめると発表したことです。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、Dairy Milkチョコレートは日本のKALDIやドンキホーテでも買うことができる数少ないフェトレード製品のひとつです。輸入チョコレートではありますが、フェアトレード製品の日本での露出が減ってしまうことは非常に残念です。
Newshub.

このようにポジティブな変化からネガティブな変化まで企業によりさまざまで、未だに物議を醸しています 。Sainsbury’sの決断は間違いなくフェアトレード市場に大きな影響を及ぼしており、これからもさまざまな動きが見られることでしょう。

Green & Black's organic chocolate 次回作からブランド認証へ

Green & Black’s organic chocolate 次回作からブランド認証へ

これまで確固としたポジションを築いてきたフェアトレードラベル運動ですが、今後このようにさまざまなブランドが独自の認証をつくり続けると、それぞれの明確な区別がつかなくなり、何が本当に良いのかと消費者を惑わせてしまう懸念があります。

日本でもこの先フェアトレードの普及が進み、同じ状況が起こることを想定して、こうした動きへの対策は常に考えておきたいものですね。

 

さて、冒頭が長くなってしまいましたが、今月も面白いイベントに参加してきたので早速レポートいたします! そして前回もお伝えしたように私は7月21日に帰国しておりまして、今回が欧州フェアトレードレポート最後の記事になります。最後まで楽しんでいただけたら嬉しいです。

プレスデー Arena Flowers

プレスデー Arena Flowers

私のフェアトレードファンデーションでの最後の活動は、プレスデーのイベント補助でした。プレスデーとは報道関係者に向けた新製品の発表会のことですが、私がインターンをしていたフェアトレードファンデーションではこの日、フェアトレードライセンス(FLO認証ではフェアトレードを販売するためにライセンス契約をする必要があります)を持つメーカーを招待し、クリスマスに向けて新たに開発したフェアトレード認証製品を展示する会場を設けました。

プレスデー全体

プレスデー全体

プレスデー Divine

プレスデー Divine

また、持続可能な料理研究家のトム・ハント氏を呼び、オーガニック野菜を余すことなく使ったエシカルな料理をデモンストレーションしたり、インフルエンサー(FacebookなどのSNSサイトで特に影響力のある人)を呼び、フェアトレードの必要性やこれからの持続可能な取り組みへの可能性についてトークセッションを行いました。

プレスデー トムハント

プレスデー トムハント

プレスデー トムハント 料理

プレスデー トムハント 料理

プレスデー トークセッション

プレスデー トークセッション

このイベントにはたくさんのブロガーが招待され、各々のメディアで発信するために製品の写真や動画の撮影をしていました。中にはSNSの最新機能を使って、イベントの様子を生配信する強者も見かけることができ、真の意味での「個人がメディアになれる時代」を目の当たりにした気がします。

レスデー トムハント2 右の女性がライブ配信しています

レスデー トムハント2 右の女性がライブ配信しています

イギリスは日本とは異なり、SNSを通じてのメディア発信が重要視されているようで、私もこのイベントの準備段階ではツイッターやインスタグラムを使ってフォロワーの多いエシカルユーザーをリストアップしていたこともあります。他にも、これまでご紹介してきたフェアトレード販売店へのインタビュー動画もFacebookで発信するためのものでした。

以下が今回のプレスデーに出展したメーカーです。
Arena Flowers、Bosman、Cafe Direct、Chocolate and Love、Coop、Divine、Chocolate、Dualit、Liz Earle、White & Green

各店舗についてはYoutube動画にてご紹介しております、興味がございましたらご覧くださいませ。
https://youtu.be/cdb9MpVdCuw

 

さて、ここで私のことを少し書かせてもらうと留学が終わり、現在は日本に帰国して落ち着いております。今後は復学し、残り半年間の大学生活の後、これまで培ってきたフェアトレードの知識を活かしてフェアトレード市場に貢献していきたいと考えております。

この先の活動については独自に開設したブログにて記録していこうと考えております。エシカルをテーマに商品の紹介や認証ロゴの解説、エシカル豆知識、雑記など幅広く紹介しておりますのでご興味を持たれた方はこちらからご覧くださいませ。
他にも動画共有サイトYoutubeでのフェアトレードに関する動画配信活動は続けてまいりますので引き続きよろしくお願いいたします。

Fairtrade Market Blog:
Youtube:

留学中は本当にたくさんのことがあり、毎日が驚きの連続で今振り返ると本当にあっという間でした。留学当初、オランダのスーパーマーケットで フェアトレード製品が普通に並んでいるのを初めて見たときの感動は忘れません。

スーパーマーケット

スーパーマーケット

買い物に行くたびに私が理想とする「市場で社会を良くするお買い物」を楽しむことができ、本当に幸せな時間でした。私が半年間留学していたサクシオン大学での研究で驚かされたことはそうした市場があるにもかかわらず、消費者はそこまでフェアトレードに関心がないということです。詳しく調べてみると、消費者よりも投資家やNGO団体を意識しての対策という意識が強く、より多くの投資や社会的信頼を得るためにCSRを実践していることがわかりました。企業がCSRを遵守するように小売店にとってはフェアトレード製品を扱うことが外部へのアピールになるようです。実際に私が独自に行った街頭アンケートでもフェアトレードの名前を知らない人が大勢いて、フェアトレード認証ロゴを見せて初めてリアクションをしてくれる人が大勢いました。

オランダ調査

オランダ調査

また、研究内では日本は島国だったため他国からの影響や移民の数が少ないこと、そして鎖国をしていた関係で他国への関心が薄いことなどにより、目に見えない他国民の人権よりも、自分の身体に直接的な関係のあるオーガニックへの関心が強い傾向が見えてきました。

 

イギリスではフェアトレードの認知度向上プロセスを学ぶために、実際にフェアトレードファンデーションのメディアチームでインターン活動をし、ロンドンコーヒーフェスティバル、ファッションレボリューションデー 、プレスデーなどさまざまなイベントに参加しました。関係者として働くことで、団体の姿勢やメディアの重要性も同時に学ぶことができました。

ロンドンコーヒーフェスティバルの様子

ロンドンコーヒーフェスティバルの様子

 

他にもフェアトレードフォートナイトのイベントでは独自にフェアトレード認定教会でインタビューを行ったり、勉強会に参加しました。

フェアトレードフォートナイト イベントの様子

フェアトレードフォートナイト イベントの様子

 

インターンの業務ではフェアトレードゴールド(宝石の金)の認知度向上のためのプロモーション活動に携わっていたのですが、そこで気づいたことは、SNSでの発信が日本よりも重要視されているということです。先ほどのプレスデーもそうですが、たくさんのブロガーを招待したのも、ネット上で記事にしてもらうためで、口コミを通じて多くの消費者にアプローチしていました。

フェアトレード普及への最適な方法は国ごとに異なることは承知ですが、日本でも将来的にユーチューバーやブロガーを起用してのキャンペーンを打ち出すこともできそうだと思いました。
私は高校まで勉強が大の苦手で、授業中居眠りばかりしていました。そんな私が日本代表学生として資金援助を受けて留学に行くことができたのは、すべてフィリピンでストリートチルドレンを見たこと、そしてフェアトレードに出会うことができたという原点のおかげです。

孤児院ボランティア

孤児院ボランティア

 

さまざまなNGOの活動を眺めながら、フェアトレードが「児童労働をなくす最善の方法」であると確信した私は大学に入ってから熱心に勉強し、いつもフェアトレードのことを考えていました。

ピープルツリーのみなさまと

ピープルツリーのみなさまと

フェアトレードファンデーションのみなさまと

フェアトレードファンデーションのみなさまと

 

誰かのためにと思ったことが、今では自分のためになり多くの人や世界と繋げてくれました。フェアトレードが繋げ、導いてくれる。そんな気がするのです。
帰国後もこれまで以上に積極的に活動をしてまいりますのでよろしくおねがいいたします。また、先の活動で、みなさまとお会いできることをたのしみにしております。

フェアトレードファンデーション最後

フェアトレードファンデーション最後

 

桑原

 

 

 

 


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