グローバル・ヴィレッジ30年HISTORY
~Vol.4 デザイナー・コラボレーションの始まり~

グローバル・ヴィレッジ30年HISTORY<br>~Vol.4 デザイナー・コラボレーションの始まり~


フェアトレード事業の創生期には商品の中心が雑貨や食品だったピープルツリーは、ファッションアイテムの商品開発に力を入れていきました。欧米では、フェアトレードの服といえばエスニックなものがほとんど。フェアトレードの裾野を広げるには、もっとファッショナブルで幅広い層に受け入れられる服が必要でした。

また、ファッションアイテムは素材から完成品までに多くの過程があり、より多くの人に収入の機会をもたらすという意義もあります。

 

2000年代初めには、ヨーロッパで人と環境に配慮したファッションビジネスを確立させようという動きが始まり「エシカルファッション」がトレンドとなっていました。ピープルツリーは、環境への負荷の低い自然素材を使い、手織りや手刺繍といった伝統技術を活かしたフェアトレードの服こそ、エシカルファッションをリードすべきだと考えました。

 

2006年、同じ志を持つ仲間に出会いました。

モード・ファッション誌『ヴォーグ ニッポン』(現『ヴォーグ・ジャパン』)から、フェアトレードの企画記事の提案が寄せられたのです。世界の新進デザイナーが考案する服をピープルツリーの生産者パートナーがつくり、人気モデルが着用してフェアトレードを紹介するという、夢のような企画でした。

発案したのは、同誌のインターナショナル・ファッション・コーディネーターであるリーヨン・スーさん。自らエシカルファッションのブランドを立ち上げ、かねてからピープルツリーとコラボレーションしたいと考えていたのです。

 

リチャード・ニコル、ボラ・アクス、タクーン、ファンデーション・アディクトという4組のデザイナーが企画に賛同し、バングラデシュの手織り生地やインドのオーガニックコットン生地を使ったアイテムをデザインしてくれました。

 

しかし、デザイナーが求めるシルエットが目の粗い手織り生地では表現できないなど、サンプル段階で断念したものもありました。何層にもなった襟、繊細なラインなど、職人達にとって初めての複雑な縫製作業もありました。職人達は、それを可能にする方法について自らアイディアを出し、難しいリクエストに応えようと努力してくれました。

 

2007年4月、『ヴォーグ ニッポン』に6ページの特集が登場。4点のデザイナー作品の紹介と共に、フェアトレードについて解説する記事も掲載され、ファッションに敏感な読者にフェアトレードの意義を伝えました。商品化された4点のアイテムは、東京のユナイテッドアローズなどでも販売され、フェアトレード・ファッションをメインストリームに押し上げたのです。

『ヴォーグ ニッポン』2007年6月号

バングラデシュに出張したスタッフが持参した掲載誌を見た職人達は、とても誇らしげでした。こうして、ファッションの最先端と、農村の小さな工房の職人達をつなげることができたのです。

 

協力したデザイナー達のうち何名かは、フェアトレードやオーガニックへの興味を深めて翌年以降もコラボレーションに参加してくれました。

以降、日本のツモリチサト、コズミックワンダー、イギリスのザンドラ・ローズ、オーラカイリーなど、ファッション界を牽引するデザイナー達が次々と賛同し、デザイナー・コラボレーション企画は毎年のように継続されていきました。

コラボレーションによってフェアトレードへの関心が高まってほしいと期待を語ってくれたデザイナーたち

 

イギリスを代表するテキスタイルデザイナー、ザンドラ・ローズとは、2013年から複数回コラボレーション。ザンドラはピープルツリーのチームと一緒にバングラデシュの生産現場も訪問した

 

◆グローバル・ヴィレッジ30年HISTORY

Vol.1  グローバル・ヴィレッジ誕生ストーリー

Vol.2 フェアトレードチョコ誕生

Vol.3 世界フェアトレード・デーの始まり

Vol.4 デザイナー・コラボレーションの始まり(今回)

Vol.5 「フェアトレード保証制度」の始まり

Vol.6 ファッションレボリューションを起こそう!

 

◆グローバル・ヴィレッジ/ピープルツリー30周年記念特設ページはこちら