逗子市がフェアトレードタウン宣言!〜これまでの歩み〜

逗子市がフェアトレードタウン宣言!〜これまでの歩み〜


ピープルツリーのアンバサダー、末吉里花です。

私の地元鎌倉市の隣にある神奈川県逗子市が、先月5月14日に「フェアトレードタウン宣言」をしました。このニュースを聞いて、飛び上がるほど嬉しかったのは私だけではありません。一番嬉しかったのは、逗子市をフェアトレードタウンにするためにずっと活動をなさってきた「逗子フェアトレードタウンの会」の皆さんだったのではないでしょうか。

実は私は、2014年に逗子でフェアトレードの活動をなさっている方たちと出会い、講座に呼んでいただいたり、イベントの司会をやらせていただいたり、一緒にフェアトレード・ファッションショーを開いたり(毎回ピープルツリーの衣装を提供していただきました!)、様々な場面で共に活動をさせていただきました。その中で逗子市がフェアトレードタウンになろうとしていることを知り、私もその思いに共感をして応援をしたかったので、逗子フェアトレードタウンの会のメンバーになりました。

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そもそも、フェアトレードタウンって何でしょうか。フェアトレードタウンとは、市民、行政、企業、小売店、学校など「街ぐるみ」でフェアトレードを応援する自治体(市町村、群、県など)のことです。フェアトレードタウンの行政、市民団体、学校、企業、そしてそこに住む住民などは、皆が一体となって、フェアトレード製品を積極的に購入・販売し、フェアトレード啓発イベントを開催するなどして、フェアトレードを広めるための活動を積極的に行います。

「フェアトレードタウン運動」を始めたのは、人口4千人のイギリスの小さな街、ガースタングに住む男性。彼はフェアトレードタウン運動を考え出し、地元ガースタングの人権活動のNPOと共に地域に働きかけ、2000年4月、ガースタングをフェアトレードタウン世界第一号として誕生させました。それ以降、ここ数年の間にフェアトレードタウン運動は全世界で急速な広がりをみせています。現在では世界24か国、1500以上の自治体がフェアトレードタウンとして認証されています。その中にはロンドン、ダブリン、ローマ、サンフランシスコといったような大都市も含まれています。2011年6月には、熊本市が日本初、アジア初のフェアトレードタウンとして認定され、去年9月には名古屋市が日本で2番目となるタウンの認定を受けました。

フェアトレードタウンになるためには、基準が明確に定められています。そのうちの重要な基準のひとつは、自治体によるフェアトレードの支持と普及です。地元議会がフェアトレードを支持する旨の決議を行うとともに、自治体の首長がフェアトレードを支持する旨を公式に表明し、自治体内へのフェアトレードの普及を図っているということです。また日本独自の基準を設けました。それは、「地域活性化」への貢献です。地場の生産者や店舗、産業の活性化を含め、地域の経済や社会の活力が増し、絆が強まるよう、地産地消やまちづくり、環境活動、障がい者支援等のコミュニティ活動と連携している、ということです。

一般的にはフェアトレードは途上国の生産者と日本などの先進国の消費者を対等、かつ公正に繋ぐものですが、「国内フェアトレード」とも呼べる「地産地消」の観点を取り入れてフェアトレードタウン運動を進めていくことでより多くの人の理解と共感を得ることができます。フェアトレードタウンが活発化することで、その地域全体が元気になり、人が集まることが期待されています。

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さて、話は逗子に戻りますが、「逗子フェアトレードタウンの会」は以前、「逗子フェアトレードタウン勉強会」という名前で、逗子を中心にした、「フェアトレード」や「フェアトレードタウン」運動に関心を持つ市民の集いの場を設けていました。逗子以外にも、葉山、鎌倉、横須賀をはじめ市外からも関心を持つ人々が集いながら、フェアトレードについての勉強会や、映画祭などの様々なイベントを行ってきました。次第に多くの人を巻き込み、2015年4月に「逗子フェアトレードタウンの会」として設立総会を開き、組織体制と会則を整えて、装い新たに再出発した、というわけです。再出発からわずか1年ちょっとで、フェアトレードタウン宣言が行われたのです。それは、活動に関わってこられた方たちの地道な努力があったからこそ。また、フェアトレードタウンはいくら市民だけが頑張ってもなれるわけではありません。特に行政が積極的に動き、賛同しないとタウンにはなれないのです。つまり、逗子市は市民、行政、商店、企業が一丸となって街ぐるみで取り組んだことで、ここまで短い期間で認定の一歩手前まで実現できたのです。宣言文は平井市長ご自身が練りに練ってお書きになったそうで、「シンプルでありながら平和を願う熱い想いが伝わって参ります。逗子に住んでいることを本当に誇らしく嬉しく感じた一日でした」と逗子フェアトレードタウンの会の方たちはおっしゃっていました。宣言が行われた後、通常は日本フェアトレード・フォーラムによる約3か月の審査期間を経ていよいよ来月、正式にタウンになれるかが決まります。


>> 逗子市フェアトレード宣言文(逗子フェアトレードタウンの会のWebサイト)


逗子市は海があり、山があり、自然が豊かな美しい場所。住んでいる人たちも環境や社会に対して意識が高く、オーガニックやフェアトレード、地産地消といったものを販売するお店も多く、私はかねてから逗子市はフェアトレードタウンにぴったりな街だと思っていました。そう遠くない日に逗子市が日本で熊本市と名古屋市についで、3番目のフェアトレードタウンに認定されることでしょう。認定されたらお祝いに、みんなでフェアトレードのワインで乾杯したいです!

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(ピープルツリー アンバサダー 末吉里花)